神奈川県の東名高速で一家4人の乗るワゴン車が「あおり運転」で停車させられ、トラックによる追突で夫婦が死亡した事故から1年半余り。危険運転致死傷罪に問われている石橋和歩被告(26)に横浜地裁は14日、判決を言い渡す。事故の解明に当たった県警の捜査員たちも、行方を見守る。
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「普通の事故じゃない。一体何があったのか」
発生直後、現場を見た県警の中堅幹部は感じた。石橋被告がワゴン車の進路を塞ぐ妨害を繰り返し、追い越し車線に停車させたという事故の輪郭は間もなく浮かんだ。捜査の課題は、客観的な証拠で証明することだった。
まず取りかかったのは、事故当時、現場付近を通行していた車を洗い出す作業。ドライブレコーダーの記録や目撃情報を得ることが狙いだった。東名高速に備え付けられているナンバー自動読み取り装置(Nシステム)から車を特定して所有者を割り出し、手当たり次第に電話をかけた。
捜査は時間との戦いでもあった。目撃者の記憶が薄れることに加え、ドラレコは車が走行すれば記録がどんどん上書きされ、消えていく。「事故が起きた平日夜の東名高速は長距離トラックが多い。走行時間が長く、すぐに記録が消えてしまう恐れがあった」(中堅幹部)。深夜でも営業所に連絡を取り、ドラレコから記録媒体を抜き取っておくよう頼んだ。
計260台以上に接触し、10…