ラグビーのトップリーグ総合順位決定トーナメント決勝は15日、平成最後の日本選手権決勝を兼ね、神戸製鋼とサントリーの顔合わせで東京・秩父宮ラグビー場で開かれる。神鋼は平成元(1989)年の日本選手権を制し、そこから7連覇が始まった。伝説が幕を開けたきっかけに、主将で司令塔を担っていた故・平尾誠二さんの決断がある。
神戸製鋼×サントリー、15日決勝 ラグビー
当時の神鋼は選手の自主性を重んじるため、監督を置いていなかった。チームのまとめ役だった平尾さんは、大学時代は無名に近かった別ポジションの控えの新人を、自らが担っていた司令塔に抜擢(ばってき)し、配置転換したのだった。
その新人は藪木宏之さん(52)。藪木さんは平尾さんの眼力に感謝するとともに、当時の平尾さんのある対応について、改めて驚きを感じている。
藪木さんは明大時代は主に密集からパスを出す役割のスクラムハーフ(SH)一筋だったが、後輩との定位置争いに敗れ、公式戦出場は片手で数えるほどだった。他社に就職し、競技のトップレベルから退こうか迷ったほどだった。
入社1年目の88年度も当然、控え。シーズンが深まる頃、平尾さんに呼び出された。「早めに練習場に来い」。そして、唐突に伝えられた。
「スタンドオフ(SO)を…