ラグビーの関東大学対抗戦は2日、最終日を迎え、早大が明大を31―27(前半17―13)で破った。すでに6勝1敗で全日程を終えた帝京大と並び、8年ぶり23度目の優勝で創部100周年を飾った。
ラグビーワールドカップ2019
早大の異質な個性光る
伝統の早明戦で、早大の異質な個性が輝きを放った。CTB中野将伍。福岡・東筑高出身の3年生だ。
わずか4点リードで迎えた後半14分。劣勢のスクラムを味方がしのぎ、巡ってきたチャンスだった。逆襲の連続攻撃で明大ゴール前に迫る早大。中野は心を決していた。「FWが耐えてくれた。バックス勝負だ。勝つ」
密集から右にパスがつながれた。味方の背後、遠くから加速し、中野はボールを受けた。横から後ろへの急転換。相手の動きが一瞬、止まった。
虚を突かれた相手の隙間をすり抜け、中野はインゴールに飛び込んだ。5分後にも似た形から再びトライ。ゴールも決まって31―13。試合の流れを決定づけた。
小さくても俊敏な選手が相手と接近し、技を利かせるのが早大バックスの伝統。だが、中野は違う。間合いを空けた深い位置から、馬力を生かして走り込む。タックルされれば一気に後退を強いられるリスクを背負うが「それが僕の持ち味だから」。96キロの体重は両校の先発バックスで最も重い。脚を回転させればさせるほど、突破は力感を増していく。
この奔放なプレーを、仲間も許容する。司令塔のSO岸岡は「中野の動きがアクセントになる。だから言うんです。自由にやっていいよと」。むしろ一種のサインプレーのような形で昇華させている。
歴史を振り返れば、1980年代の黄金期には今泉清、2000年代は五郎丸歩という異能の大型バックスがいた。際立つ個性を受け入れられた時の早大は強い。
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全国大学選手権には対抗戦から上位5校が出場し、直接対決の勝敗から帝京大が1位、早大が2位扱いで組み合わせに入る。3位も2校が並び、同様に慶大が3位、明大が4位扱いとなる。(中川文如)