大阪・ミナミに「中華料理」ならぬ「中国料理」の店が増えている。店内では中国語が飛び交い、テーブルには見慣れない料理が並ぶ。「本場」そのものとあって、故郷の味を求める中国人観光客や留学生らでにぎわっている。
「ニーハオ!」
繁華街の一角にある鍋料理店「鄭記(ていき) 老成都串串(ろうせいどくしくし)」(大阪市中央区宗右衛門町)。扉を開けると威勢のいい中国語であいさつされた。店名になっている鍋料理「串串」のスープの辛さは強、中、微、とある。店員は「『強』は中国・四川の辛さ。辛いヨー」。
「中」を頼み、串にささった肉や野菜をしゃぶしゃぶのように真っ赤なスープに浸して食べると、ピリッとした辛さが広がる。スープは豚骨と鶏ガラをベースに、唐辛子や漢方など100種類以上の素材からなる。食材には珍しいものもあり、カモの腸はコリコリ、ブタのしっぽはプルプルと、食感が楽しい。ただ15分もすると、辛さで汗ばんだ。
「あまり帰国できないので、この辛さがホッとします」というのは、中国人留学生の徐櫻子(じょようこ)さん(25)。オーナーの鄭紹来(ていしょうらい)さん(29)は留学生として来日し、「中国人が多く訪れる今がチャンス」と昨年12月に開業した。客の9割が在日中国人か中国人旅行者。「食は異国間のコミュニケーション。もっと中国の味を知ってもらいたい」と日本人の来店も期待する。
「中国料理」と「中華料理」はどこが違うのか。辻学園調理・製菓専門学校の横田文良教授(中国料理)によると、中華料理は戦後に中国から引き揚げてきた日本人や在日中国人らが日本人向けにアレンジしたものだという。例えば冷やし中華は日本で生まれた料理だ。そこから「原点回帰」したミナミの中国料理店では、現地のトレンドを取り入れたり、ご当地料理にこだわったりと、特色を出そうとするところもある。
8月オープンの「大東北(だい…