ヨルダンのサファディ外相が16日、首都アンマンで朝日新聞と会見し、中東和平について「米国なしで解決に向かう可能性は非常に少ない」と断言した。トランプ米大統領が昨年12月にエルサレムをイスラエルの首都と宣言して以来、パレスチナは米国の仲介を一切拒否している。サファディ氏は和平実現には米国の関与が不可欠との認識を示し、両者の関係修復に乗り出す考えを示した。
LUNA SEAギタリスト 僕が難民支援に関わるわけ
仕事クビ、先生いない 米の拠出金停止、パレスチナ直撃
2国家共存は夢なのか イスラエルとパレスチナの25年
ヨルダンはパレスチナ難民約220万人を含むパレスチナ系が人口約1千万人の約7割を占める。一方で、イスラエルと国交があり、米国から多額の軍事・経済援助を受ける親米国だ。トランプ政権は中東和平の実現に向けてヨルダン側の協力を求めている。
サファディ氏はトランプ氏の首都宣言とそれに続く米大使館のエルサレム移転について、「エルサレムの地位は(パレスチナとイスラエルの)交渉議題だ」とクギを刺したうえで、「ヨルダンは(パレスチナとイスラエルの)議論を始められる土台づくりをしている」と述べた。
またヨルダンは、内戦が続く隣国シリアから難民約130万人を受け入れている。シリアとヨルダンの国境検問所は今年10月、3年ぶりに開通したが、サファディ氏によると、シリアに帰還した難民は約5千人にとどまっている。シリアではアサド政権側が軍事的優位を確立しているが、テロなど安全・治安面での不安は大きく、生計を立てられる見通しが不透明なことも背景にあるとみられる。
ヨルダンは失業率が18%を超え、シリア難民を受け入れる負担は大きい。サファディ氏は「ヨルダンは危機的な経済状況でも人道的責任を果たす」と述べたうえで、「国際社会には支援疲れがみられる」と指摘し、難民受け入れ国への支援継続を訴えた。(アンマン=渡辺丘、北川学)