来年1月27日に開催される大阪国際女子マラソンで新たな試みが実施される。その名も「大阪国際女子マラソン ラップチャレンジ」。日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは「この試みによって、大会記録が出るのではないか」と期待する。その内容とは? 狙いとは?
ラップチャレンジは、8位までの入賞者を対象に、30~35キロのラップタイムの最速選手に賞金50万円、さらにこのラップタイムで大会最高を出すともう50万円の、計100万円が贈られるというもの。同記録の場合は35キロ地点の順位を優先し、順位も同じ場合は、賞金は分配される。現行コースの大会最高記録は、前回大会で優勝した松田瑞生(23)=ダイハツ=が記録した16分19秒だ。
瀬古リーダーは「ペースメーカーが外れて、30~35キロというのは駆け引きが優先される」とした上で、「賞金が出るとなると、海外選手のペースも上がると思う。日本選手にとっても、苦しいところでペースを上げたら、いい記録も出るのではないか」と相乗効果を期待する。
背景には女子長距離・マラソンの低迷がある。来年9月に開催される東京五輪代表選考会となるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を獲得したのは、現時点で、男子の21人に対し、女子は8人にとどまっている。
瀬古リーダーは「男子は大迫選手や設楽選手、井上選手、服部選手と何人もライバルが現れている」とする一方、「女子は松田瑞生選手が頭ひとつ抜けているなと感じる。第2の松田さんが、あと2人くらい出てくれば、女子マラソンも復活ののろしが上がるのではないか」と語る。
今回の大阪国際女子マラソンは、リオデジャネイロ五輪以来のフルマラソンとなる福士加代子(36)=ワコール=、田中智美(30)=第一生命=ら実績あるベテラン勢がMGC出場権を目指す。一方で、瀬古リーダーが「一番期待している」と話すフルマラソン初挑戦となる大森菜月(24)=ダイハツ=など若手が「第2の松田瑞生」となり得る可能性も秘める。新たに導入される「ラップチャレンジ」が、好タイムを記録する一助になれるか。ニンジン作戦に注目だ。(辻隆徳)