ワールドカップ(W杯)イヤーだった2018年のJリーグでひときわ話題を集めたのが、スペインから来た2人のビッグネームだった。イニエスタ(神戸)とフェルナンドトーレス(鳥栖)。元スペイン代表の2人は、シーズン途中の加入で実力を存分に出し切るまでには至らなかったが、入場者数などの興行面では桁外れの効果を及ぼしたことがわかった。
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2人はいずれも、W杯中断を経てJ1が再開した7月22日の第17節のホームゲームに途中出場し、Jリーグにデビューした。
Fトーレスも同規模の影響力
今季、イニエスタは14試合、計1080分に出場して3得点。フェルナンドトーレスは17試合、計1388分に出場して同じく3得点。元スペイン代表の質の高い技術を披露し、アウェー戦を含めて入場券が完売するなど人気を集めた。
Jリーグがシーズン直後に発行している「PUBリポート」では、2人の影響力の大きさをトピックとして取り上げている。
今季のJ1の総入場者数は昨季に比べて5万5360人増で約1%の増加にとどまったが、神戸は18・4%増、鳥栖は5・7%増だった。
今季を2人が加わる前と加わった後で比較すると、1試合平均で神戸は7582人増えて増加率44・2%に達し、鳥栖も38・7%と高い値を示している。
アウェーのクラブにも恩恵
Jリーグの村井満チェアマンが「アウェーで対戦するクラブに大きなメリットを及ぼし、リーグにインパクトを与えた」と驚いたのが、神戸と鳥栖が出向いた敵地の観客動員だ。
昨年と同じスタジアムで行われた同じ対戦カードを比べると、札幌―神戸は156・8%増と、まさにイニエスタ様々といえる影響が出ている。Jリーグの分析によると、この試合のチケットを購入した観客のうち、37・5%が新規だったという。
PUBリポートでは、日本でプレーする2人の姿が海外メディアで多く取り上げられた効果にも触れている。イニエスタの年俸は推定で約32億円とも伝えられるが、多方面に経済効果をもたらしているといえそうだ。
各クラブの資金力を考えれば、大物外国人の来日が続くか定かではない。村井チェアマンは「クラブの哲学に合わせて強化や運営があるべきで、ビッグネームばかりでなく、日本で育てて欧州に出ていくような原石を連れてくるなど、いろいろなやり方が出てきてほしい」と話している。(潮智史)