(18日、Jリーグアウォーズ)
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2連覇を果たしたチームにあって、2位タイとなる6得点。初のMVPに輝いた家長昭博は「平々凡々な記録でもらうのは心苦しい。川崎のみんなに感謝を伝えたい」。その貢献度の高さは、目に見える数字だけでは測りきれない。
「チームを優勝させるために雇われている」と言ってはばからない。パスを得意とする選手がそろう川崎にあって、外国籍選手の当たりにも負けない強い体と、球が足に吸い付くようなドリブルで攻撃にアクセントを加えた。リーグ最多を記録した川崎の57得点の多くは、この32歳がいなければ生まれなかった。
ガ大阪の下部組織育ち。同期の本田圭佑(メルボルン・ビクトリー)が内部昇格できなかったのを尻目に18歳でJ1デビューし、2007年には日本代表入り。将来を期待されたが、ケガなどもあって思うような結果を残せず、国内外のチームを渡り歩いてきた。
昨季から川崎に加入。38歳の中村憲剛らから大きな刺激を受けた。「30歳を超えても、さらに成長できる」。攻守に走りまわる献身性が加わり、プレーのすごみが増した。今季は、PKを立て続けに止められて悩んでいたFWの小林悠に「外しても、まだ取り返せる」と声をかけて背中を押すなど、精神面でもチームを支えた。
史上5クラブ目となる川崎のJ1連覇の快挙にも「これで終わりじゃないと、改めて感じている。すぐに来年がやってくる。周りに負けないように成長したい」。家長にとって、MVP獲得もサッカー人生の通過点に過ぎない。(清水寿之)