今年2月、東京都港区の都道で乗用車が暴走し、歩道の男性がはねられて死亡した事故で、警視庁は21日、運転していた元東京地検特捜部長の石川達紘(たつひろ)弁護士(79)=神奈川県鎌倉市=を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)と道路交通法違反(過失建造物損壊)の疑いで書類送検した。「何らかの理由で誤ってアクセルを踏んでしまったと思うが、踏み込んだ認識はない」と供述しているという。
元東京地検特捜部長が運転する車にはねられ、男性死亡
交通捜査課によると、書類送検容疑は2月18日午前7時20分ごろ、東京都渋谷区恵比寿2丁目の都道で乗用車を駐車中、ギアをパーキングに設定するなどの操作を怠り、誤ってアクセルを踏んで時速100キロ超で約300メートルを暴走。港区白金6丁目で歩道沿いの金物店に衝突して壊し、歩道にいた足立区の建築業の男性(当時37)にぶつかって死亡させたというもの。
事故車は右ハンドル。石川弁護士は当時、降車しようとサイドブレーキをかけて運転席のドアを開け、路上に落ちたかばんを拾おうと右足を車外に出しかけていたという。アクセルには最も踏み込んだ状態で衝突した際にできた痕が残っており、同課は石川弁護士が左足で誤ってアクセルを踏み続けたとみている。車の機能に異常はなかった。
石川弁護士は最高検公判部長、名古屋高検検事長などを歴任。金丸信・元自民党副総裁の脱税事件の捜査を指揮するなどした。