柴山昌彦文部科学相は25日、東京医科大や順天堂大など、医学部での不適切入試が発覚して大量の追加合格者を出している大学が来春の合格者を決める際、定員を超過することを特例的に認めると発表した。大学側は追加合格を認めるため、来年度の定員を減らす方針を決めており、受験生への影響が懸念されていた。超過を認める人数は、追加合格の状況や教育環境が確保されているかなどを見ながら大学側と協議し、来春までに確定させる。
これまで、東京医科大は計44人、順大は計48人、日本大は計10人の追加合格を認める代わり、来春の入学定員を減らして対応する方針を発表している。これに対し、「来年の受験生が不利益を被るのはおかしい」と批判が出ていた。
柴山氏はこれまで、医学部の定員は医師の需給推計に基づき、過剰を招かないように配慮する閣議決定が出ていることを挙げ、「定員増を行うというのは極めて困難」と否定的な見方を示していたが、実質的に方針転換した。対象は文科省が入試を「不適切」と認定した9大学になるとして、定員の超過によって増える人数は、5年を上限に減らして解消するよう大学側に求め、違反した場合は私学助成金の減額などで厳しく対応するという。
医学部入試をめぐっては、女子や浪人回数の多い受験生の得点抑制などをしていたことが東京医科大で判明したことをきっかけに、問題が次々と発覚。文科省は今月、計9大学で「不適切な入試が行われていた」とする報告書を公表し、大学側に対応を求めていた。(矢島大輔)