名古屋城(名古屋市中区)に収蔵されている重要文化財の障壁画などを保管・展示する施設が、城内の西之丸にできる。今月末に建設工事を終え、周辺を整備して2020年度に開館する予定だ。文化財の管理に適した環境を整え、展示品を入れ替えて鑑賞できるようにする。
【特集】名古屋城
名古屋市が20日、市の有識者会議で概要を示した。新施設は鉄筋コンクリート平屋建てで、延べ床面積は1435平方メートル。展示室や収蔵庫、イベントスペースのほか、障壁画を修復するための部屋を備える。保管場所では床や壁、天井を二重にし、温度や湿度を一定に保つ。
名古屋城には、空襲による焼失を免れた障壁画が1047面あり、国の重要文化財に指定されている。戦後に再建された天守で入れ替わりで公開されてきたが、天守の木造化に向けて今年5月から鑑賞できなくなっていた。市は新施設に、戦前の天守や本丸御殿を記録した実測図や写真なども収める。
西之丸にはかつて展示館があったが、老朽化が進んだため建て替えが必要となっていた。市は昨年12月から約10億円をかけて新施設の建設を進めていた。(関謙次)