だるま、福助、こけし、招き猫……。郷土玩具1500点を並べた全国でも珍しい専門店「山響屋(やまびこや)」が、福岡市中央区の繁華街の一角にある。にぎにぎしい店内は、オーナーの瀬川信太郎さん(34)の並々ならぬ民芸品愛に満ちている。
国体道路から歩いて数分。おしゃれな店が集まるエリアにある3階建てマンションのごく普通の一室に木製の看板が掛かる。
「え、ここ?」と戸惑うのはまだ早い。のれんをくぐると、ビートの効いたジャジーヒップホップが聞こえてくる。飲み屋にでも迷い込んだかと思いきや、色鮮やかな郷土玩具が目に飛び込んでくる。
緑色のだるまがある。目玉がないのにやたらと目力のあるだるまも。ちょんまげ姿でちょこんと正座をするのはおなじみの福助人形。古賀人形もある。いずれも厄よけや縁結び、武運立身に子宝安産、病よけから虫よけまで、浮世のあらゆる願いを背負い、各地で受け継がれてきた品々だ。
オーナーの瀬川さんは長崎県の島原出身。高校卒業後に大阪へ行き、雑貨屋でバイヤーなどをしていた。
最初にはまったのは、だるまだった。「選挙のイメージがあるでしょ。でも丸くないのも目玉が入っていないのもいっぱいあって、かわいくてやばいんです」
惚(ほ)れたからには歴史や背…