(9日、サッカー・アジア杯 日本3―2トルクメニスタン)
ボールを持つ相手に、DF酒井は寄せていなかった。GK権田もシュートへの構えがなかった。前半27分の失点は、隙から生まれたのに他ならない。自陣右、ペナルティーエリアの外から強烈なゴールを決められた。相手が格下でなければしないであろう、緩慢なプレーが原因だった。
選手たちも警戒感は口にしていた。森保監督が就任してから、4勝1分け。若手が躍進し、勢いに乗っていたチームは、過信が生まれやすい状況にあった。
格上と戦うワールドカップと違い、1次リーグは格下からの挑戦を受ける構図になるアジア杯。守りを固められることは想定内だったはずだ。なのに、人数を割いて構える中央へ向かって、足元へのパスを繰り返すばかり。球を失っては逆襲を食らう展開が続いた。
DF長友が言った「きれいなサッカーだけでは勝てない」という反省は、高慢さがあったことを物語る。長いパスも交えて泥臭く戦った後半、3点を奪ったまでは良かった。だが、スルーパスで簡単に中央を突破され、1対1となったGK権田が相手を倒して2失点目となるPKを献上。最後までぴりっとしなかった。
主将のDF吉田は厳しい表情で言った。「自分たちで難しい試合にしてしまった。覚悟と決意を持って臨めたのか、自問自答しなければならない結果になってしまった」。この辛勝を、「初戦の難しさ」で片付けてしまっては、成長につながらない。(勝見壮史)
■「何とか勝ったという…