陸上自衛隊西部方面総監部(熊本市)は10日、大型輸送ヘリコプターが宮崎県上空を飛行していた昨年10月、地上からレーザー光線を照射されたと発表した。パイロットの1人の片目の視力が一時的に低下したという。威力業務妨害などの疑いがあるとして、宮崎県警に被害届を出している。
総監部によると、ヘリは陸自西部方面航空隊所属のCH47。昨年10月24日午後7時25分ごろ、宮崎県諸塚村の上空で、前方左下から約1分間、緑色のレーザー光線が機体に照射された。左座席で操縦していた副操縦士の左目の視力が一時的に低下。右座席にいた機長がすぐに操縦を代わった。計10人の乗員にけがはなかった。飛行後の視力検査では副操縦士の目に異常はなかったという。ヘリは宮崎県の沖合で夜間飛行訓練を終え、熊本へ戻る途中だった。
総監部広報室は「じかに当たったら失明する恐れがあった。深刻に受け止めている」と説明している。西部方面航空隊長の伊東佳哉(よしちか)1等陸佐は「航空機に対するレーザー照射は安全運航や乗員の安全に極めて重大な影響を与える可能性があることから、被害の届け出をし、所要の捜査に協力しています」とコメントした。
自衛隊ヘリへのレーザー照射は昨年9月に2回、陸自中部方面隊のヘリに対しても起きている。(田中久稔)