前会長カルロス・ゴーン被告(64)が役員報酬の過少記載などの罪で起訴された日産自動車が、1億円以上の報酬を得た上場企業の役員の名前と金額を開示する制度が導入された2009年度に、数人の役員の報酬を1億円以上に増やしていたことがわかった。役員の報酬額を決める前提となる前年度の業績が悪化して赤字に転落していたのに、年間報酬が1億円を超えた役員の数は前年度より増えていた。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
日産の09年度の有価証券報告書によると、当時の役員10人のうち、09年度に1億円以上の報酬を得たのは6人。ゴーン前会長が8億9100万円で最も多く、残る5人は1億円台だった。
西川(さいかわ)広人副社長(当時、現社長)は1億500万円、山下光彦副社長(同、現三菱自動車副社長)は1億200万円とわずかに1億円を超える水準だった。
日産関係者によると、1億円台の5人のうち数人の役員の08年度の報酬は1億円未満だった。1億円以上の役員報酬に関する個別の情報開示が改正内閣府令で義務づけられた初年度に報酬額が増え、名前と金額の開示対象になったという。
日産の役員報酬額は前年度の業績などをもとに決める仕組みとされている。日産の09年3月期決算は、売上高が前年比22・1%減の8兆4369億円、純損益は2337億円の赤字だった。リーマン・ショックの影響で、9年ぶりに赤字に転落していた。
日産の取締役会は、取締役の任…