日産自動車は12日、上級幹部だったホセ・ムニョス氏(53)が11日付で辞職したことを明らかにした。会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された日産前会長カルロス・ゴーン被告(64)の側近だった。ゴーン前会長の逮捕後に、日産の幹部が退社したのは初めて。辞職の理由は公表されていない。後任は未定という。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
ムニョス氏は、副社長より格上の5人の上級幹部のうちの1人。事業戦略と業績全体の統括責任者で、日産の「ナンバー3」と言われるCPO(チーフ・パフォーマンス・オフィサー)を務めていた。トヨタ自動車から日産に移り、日産にとって重要な市場の北米や中国の担当を歴任。ゴーン前会長の信任が厚く、一時は次期社長候補にも挙げられていた。今年に入ってCPOや中国事業担当の職を外れたことが明らかになり、日産広報は「別の業務に専念する」としていた。
人事を統括する専務執行役員で、ゴーン前会長に近いアルン・バジャージュ氏が通常業務から外れたことも明らかになっている。
一方、日産はゴーン前会長の不正の全容を把握するため社内調査を続けており、調査範囲を国内や不透明な送金があったとされる中東だけでなく、北米やインドなどにも広げている。西川(さいかわ)広人社長兼CEO(最高経営責任者)は11日夜、社内調査の結果について「従業員も気になっているので、できる限り早い段階で公開できるものは公開したい」と話した。