日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)が私的な損失を日産に付け替えたなどとして起訴された事件で、前会長の弁護人は17日、保釈を認めなかった東京地裁の決定を不服として準抗告を申し立てた。地裁が準抗告を退ければ、前会長の身柄拘束はさらに続く。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
東京地検特捜部は11日、ゴーン前会長を会社法違反(特別背任)と金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で追起訴した。弁護人が同日、地裁に保釈を請求したが、地裁が15日に却下していた。前会長は起訴内容を否認しており、地裁は保釈すれば証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断したとみられる。
ゴーン前会長の身柄拘束は最初に逮捕された昨年11月19日から始まった。12月20日に地裁が検察側の勾留延長の請求を却下したが、特捜部は翌21日、特別背任容疑で3回目の逮捕に踏み切った。
ゴーン前会長は2008年10月、約18億5千万円の評価損が生じた私的な投資契約を日産に付け替えたほか、信用保証に協力したサウジアラビアの実業家に日産の子会社から09年6月~12年3月、4回にわたって計1470万ドル(当時のレートで約13億円)を不正に送金したとして起訴された。また、10~17年度の役員報酬計約91億円を過少記載したとされる。