大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)の50代の男性運転士2人が、ひげを理由に人事評価を下げられたのは憲法違反だとして、市に賠償などを求めた訴訟で、吉村洋文市長は、市に慰謝料など計44万円の支払いを命じた大阪地裁の16日の判決を不服だとして、控訴する方針を明らかにした。
吉村氏は17日、自身のツイッターに「なんだこの判決。控訴する」と投稿。「旧市営交通はサービス業」と指摘しつつ、「身内の倶楽部じゃない。公務員組織だ。お客様の料金で成り立ち、トンネルには税金が入っている」と強調した。そのうえで、「控訴だ」と繰り返した。
また、吉村氏は記者団に対しては、男性運転士らの人事評価について「ルールを守っていない職員がルールを守っている職員よりも高く評価されるのはおかしい」と語った。
一方、交通局がひげを禁止する「身だしなみ基準」を制定した当時、市長だった橋下徹氏も17日、ツイッターに投稿。「公務員組織の交通局は違法・不適切行為を繰り返していた。当時は厳格に服務規律を守らせることが第一だった」と説明した。
16日の判決は、ひげをそるよう求めた基準は職務命令ではなく職員への協力を求める趣旨だとして違法性を否定する一方、基準に沿って上司が人事処分を示唆してひげをそるよう指導したり、人事評価を下げたりしたことは違法だと判断していた。(宮崎勇作)