仏ルノーは24日、取締役会を開き、会社法違反(特別背任)などの罪で起訴されたカルロス・ゴーン被告(64)の会長兼CEO(最高経営責任者)からの退任を決めた。後任の会長に仏タイヤ大手ミシュランのジャンドミニク・スナールCEO、後任のCEOにルノーのティエリー・ボロレCEO暫定代行が就く人事も決めた。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
ルノーと3社連合を組む日産自動車、三菱自動車は昨年11月の逮捕直後に会長職を解いている。3社連合を率いてきたゴーン被告が3社の経営トップの座からすべて退いたことで、日産とルノーの主導権争いは新たな局面を迎える。
一方、日産は24日、4月中旬に臨時株主総会を開く方向で検討を始めたと発表した。ゴーン被告と前代表取締役グレッグ・ケリー被告(62)の2人を取締役からも解任し、ルノーから取締役1人を受け入れる目的に限って開催する考えだ。ルノーはスナール氏を日産の取締役に送り込み、3社連合の提携見直しの協議の窓口にする方針。日産はこれまでルノーが要求してきた臨時株主総会の開催を拒否しており、西川(さいかわ)広人社長兼CEOは同日夜の記者会見で「ルノーの新しいリーダーにも加わってもらい、新たなガバナンス(企業統治)を進めるなかで一緒に議論したい」と述べた。
ルノーはゴーン被告の逮捕後に会長兼CEO職の解任を取締役会で3度見送った。ルノーの筆頭株主の仏政府も「推定無罪の原則が働く」(ルメール経済・財務相)としてルノーの判断を支持してきたが、ゴーン被告の勾留が長期化し、経営トップの不在が長引く見通しになったため、辞任を促す姿勢に転じていた。
ただ、ルノーはゴーン被告を解任した日産、三菱自と異なり、ゴーン被告からの辞表を認める形で退任を決めた。ゴーン被告への配慮がにじむ。(疋田多揚=パリ、木村聡史)