海上自衛隊横須賀基地(神奈川県)の補給艦「ときわ」で男性3等海尉(当時32)が自殺した問題で、海自は29日、3尉へパワハラ行為をしたなどとして、当時の艦長高木征教(ゆきのり)2等海佐(54)を停職30日、上官の男性3等海佐(40代)と男性1等海尉(40代)を停職20日の懲戒処分とした。
補給艦で自殺、パワハラの疑い 海自が事故調査委を設置
3尉は昨年9月、横須賀基地に停泊中の艦内で自殺。遺書は見つからなかった。艦側は当初、パワハラを報告しなかったが、11月にときわの乗員から海上幕僚監部服務室に通報があり、海自が事故調査委員会を設置して調べていた。
同日まとまった事故調査報告書などによると、7月に昇任したばかりで仕事に不慣れだった3尉に対し、高木2佐は「なんで言われたことができないんだ」と叱責(しっせき)▽3佐は「こんなこともできないのか」「日本語が通じないなら英語で言う」と発言▽直属の上司の1尉は「こっちに来るな。あっちに行け」と罵声を浴びせたほか、休日出勤するよう指導した。
自殺の2日前には、1尉は約40分間、他の幹部がいる前で大声で叱責。3尉は「自衛隊を辞めます」と言っていた。
高木2佐は他の隊員に対しても、頭を平手でたたいたり、「おれに意見するな」と罵声を浴びせたりしていた。
海幕服務室が昨年12月に行った全乗員へのアンケートでは、上官が「死ね」「消えろ」などと発言▽自殺前夜にバインダーを投げつけた――といった3尉への行為などが記載されていたが、いずれも「確認できなかった」という。
3人とも自らの行為が3尉の自殺につながったと認めているという。
海自では過去にも、いじめを苦に自殺する隊員が出ている。村川豊海上幕僚長は「不適切な指導が隊員を自殺へ追いやったことは誠に遺憾」と述べた。今回の処分内容について海自は「停職6日程度とする通常のパワハラより重い処分とした」という。(古城博隆、清宮涼)