福岡市で2016年に起きた金塊窃盗事件に絡んで、別の事件の捜査情報を漏らしたとして、停職6カ月の懲戒処分を受けた愛知県警の男性巡査部長(31)が29日、名古屋市中区で記者会見した。懲戒処分の取り消しを求め、愛知県人事委員会に審査請求を申し立てたことを明らかにした。
金塊窃盗、情報漏洩なしと愛知県警 別事件では「あり」
巡査部長については、薬物事件で知人男性に捜査情報を漏らすなどしたとして、県警が昨年9月に地方公務員法(守秘義務)違反容疑で書類送検。名古屋地検は昨年12月、不起訴処分にしていた。
会見で巡査部長は「(知人男性を)捜査協力者として情報を入手するよう上司から命令され、報告もしていた」とした上で、伝えた内容も情報漏洩(ろうえい)にあたらないと否定。そのうえで、県警から聴取を受けた際に「組織を守るために辞表を書いてほしいと言われた」などと説明した。同席した新海聡弁護士は「組織的な問題を隠すため、スケープゴート(いけにえ)にされたのではないか」と話した。
金塊窃盗事件を巡っては、愛知県警の警察官3人が容疑者側に捜査情報を漏らしたとする疑惑が浮上。県警は昨年9月に「漏洩(ろうえい)はなかった」との調査結果を出した。ただ、3人のうちの1人だった巡査部長については、県警が別の事件での漏洩を認定した。会見を受けて、県警監察官室は「コメントは差し控えるが、(巡査部長に対する)処分は適正だった」としている。