28年の経験をもつ米国の外交官が昨年夏、失意の退任に追い込まれた。「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領が政権外や閑職に追いやった国際協調派の一人だ。首都ワシントンから約1千キロ離れた東部メーン州の農場で「第二の人生」に踏み出した彼女に会いに行った。(リスボン=園田耕司)
「あなたとここで会えるなんて思ってもみなかった」。雪原の中の農場で、笑顔のスーザン・ソーントンさんが愛犬とともに出迎えてくれた。
昨年7月の退任時に、ワシントンの自宅を引き払った。夫のジョーさん(56)、息子のベンさん(22)とともにメーン州リスボンに移住し、農場生活を始めた。
「マサチューセッツ州の田舎育ちだから、いつか戻りたいと思っていた。メーン州の生活は素晴らしい」
購入した農地は約200ヘクタール。馬や豚を飼い、ニンニクの栽培を始めた。ニンジンやキャベツ、カブ、ジャガイモも栽培する予定だ。
国務省を去る際、ソーントンさんは「自分にとって人生で最もつらい日々」を送っていた。
「追い出す」と公言されて
トランプ政権発足2カ月後の2…