第1次安倍政権で「消えた年金」問題を追及し、「ミスター年金」と称された立憲民主党の長妻昭代表代行が、4日の衆院予算委員会で質問に臨んだ。民主党政権で厚生労働相を務めたことから、「毎月勤労統計」をめぐる不正調査を見抜けなかった自らの責任を認めて陳謝。しかし「政府は実態解明をブロックしている」と追及の手は緩めなかった。
「消えた年金」問題では、第1次安倍政権の2007年に社会保険庁(当時)による年金記録のずさんな管理が発覚。その後の調査で持ち主不明の年金記録が5千万件を超える事態に発展した。民主党議員だった長妻氏が追及の急先鋒(きゅうせんぽう)として国会で政権を追い詰め、自民党はその年の参院選で大敗し、その後の安倍政権退陣につながった。
長妻氏はこの日の予算委で、安倍晋三首相が「消えた年金」で「最後の一人まで徹底的にチェックし、全て支払う」と述べた点を取り上げ、「あのときにも首相は大ウソをついた」と迫った。首相が「残念ながら最後の一人まで支払うことは難しくなった」と釈明すると、「首相は(当時)『不安をあおるな』と言って、認めなかった。我々が大騒ぎをしなかったら、フタをされていた」と述べ、統計不正の問題と「消えた年金」問題とを重ね、実態解明に消極的な首相の姿勢を批判した。
一方で、毎月勤労統計の不正は長妻氏が厚労相の間もずっと続いていた。この点について長妻氏は「民主党政権も不正を把握することができなかった。深く反省する」と質問の冒頭で陳謝した。(中崎太郎)