一般社団法人・鹿児島県ライフル射撃協会(鹿児島市)が昨年度、架空の「指導者」を記入した文書を使って、助成金を受け取っていた疑いがあることがわかった。県体育協会(会長・三反園訓知事)が5日にも調査に乗り出す。指導者とされた射撃協会理事の一人は「指導はしていない」と朝日新聞の取材に認めた。
射撃協会の実施報告書によると、ライフル射撃の競技人口の拡大などを目的とした「育成競技スポーツ教室」事業に対し、協会があらかじめ提出する事業計画に基づいて県体協から助成金計26万円が交付された。
協会は2017年9~12月、市内の射撃場で計8回の教室を開き、1回ごとに指導者3人に謝金と交通費を計5500円ずつ支給したり、会場使用料などに充てたりしていた。実施要綱によれば、指導者人数については「県内指導者3人とする」とされていた。
報告書に添付された領収書には、8回とも実技の指導者として3人の実名と支払金額が記載され、本人名の領収印が押されていた。3人とも射撃協会理事。うち一人は計4万4千円が支給されたことになっていたが、「一回も指導はしていない。印鑑も押していないし、お金も受け取っていない」と証言した。
県体協も問題を把握しており、幹部は「事実関係を確認し、助成金の返還請求を含めて、早急に対応したい」との方針を示した。
射撃協会の複数の関係者によると、3人のうちの別の理事が実質的な会計責任者。この理事は「当時は私が会計を統括していた。私的流用はしていない。指導実態がないとの指摘については、今は言えない」と語った。(野崎智也)