「建国記念の日」の11日、各地で集会が開かれた。5月の天皇の代替わりが話題にのぼった。
「日本の建国を祝う会」(事務局・神社本庁)は、東京・代々木の明治神宮会館で式典を開き、参加した約1200人が「紀元節」の歌などを歌った。
祝う会会長の大原康男国学院大名誉教授は「この日は、日本人の国民精神を奮い起こすよりどころの日」だと述べた。
自民党は2012年衆院選の選挙公約で「政府主催で建国記念の日を祝う式典を開催する」としている。
大原氏は、政府主催の式典が実現していないのは課題だと指摘。「できるだけ早く実施されるようにお願いしたい」と語った。
式典に続き、高橋史朗・麗沢大大学院特任教授が講演。天皇の代替わりを機に「わが国の伝統精神を取り戻すべきだ」と訴えた。
一方、東京・日本橋の日本橋公会堂では「建国記念の日」に反対する集会が開かれた。歴史研究者らからなる五つの団体が主催。約220人が集まった。
明治大学平和教育登戸研究所資料館の渡辺賢二・展示専門委員は講演で、5月の代替わりで、神器などを引き継ぐ「剣璽(けんじ)等承継の儀」を国事行為とすることは見直すべきだと主張。「皇室の私的行事である『大嘗祭(だいじょうさい)』は簡素に行うべきだ」と話した。
集会に参加した「東京高校生平和ゼミナール」の女子生徒(15)は昨年、沖縄で現地の高校生たちと基地問題について話し合ったという。「若い世代がもっと政治に興味を持たなければ日本は変わらない」と話した。
2月11日は、神武天皇が即位した「紀元節」として、明治初期に祝日となった。130年前に大日本帝国憲法が発布された日でもある。戦後廃止されたが、佐藤栄作内閣のもとで66年、「建国記念の日」として復活された。