市教育委員会の検査ではアスベストが「含まれない」。解体請負業者の検査では「含まれる」――。正反対の結果に、急きょ検査を追加する異例の事態が、横浜市立小学校の解体工事で2件続いたことが12日、わかった。市議会こども青少年・教育委員会で報告された。
工事は、山内小(青葉区)と、旧子安小(神奈川区)の校舎を解体するもの。市教委によると、いずれも、解体に向けて昨年度中に市教委側で行った検査ではアスベストが検出されなかったが、工事を請け負った業者が改めて検査したところ、外壁の塗装下地調整剤からアスベストが検出された。市教委がより詳しい再検査をしたところ、やはり基準を超えるアスベストが含まれていると確認したという。
検出された部材はアスベストが露出しておらず、通常の学校生活を送る中で健康被害が生じる可能性はないという。旧子安小では、再検査や工事中の飛散防止対策が必要になったことに加え、土壌汚染が判明したことで、今年度末までだった工期を丸1年延長する。旧校舎がある土地は4月から民間不動産会社に所有権が移るが、更地になるまでは引き渡せず、市は来年度予算に1年分の賃借料1億9千万円を盛り込む。
市教委によると、両校とも、市教委側と請負業者側では、異なる手法で検査していたが、国の定めではどちらも認められた手法だった。担当者は「なぜこうした結果が出たのかは現時点ではわからない。建築局とも協議し、今後同じことが起きないような方法を探りたい」と話す。(木下こゆる)