油圧機器大手「KYB」(東京)による免震・制振用オイルダンパーの検査データ改ざん問題で、同社は13日、第三者による調査報告書を国土交通省に提出した。改ざん行為は納期に間に合わせるため、同社の製造部などが考案し、2000年ごろ始まったと指摘。同社は13日、改ざんは組織的だったと認めた。
KYBデータ改ざん、新たに確認 不適合1100件超に
報告書によると、改ざんはKYBの製造部や技術部、品質保証部の幹部らが協議して始まった。07年に事業移管された子会社でも経営陣や幹部の一部が改ざんを認識していたと認定。「状況を改善すべき立場にありながら、むしろ不正を指示し、黙認した」と指摘した。同社の坪井勝執行役員は13日の会見で、00年以降、検査員8人に加え、上司ら同社、子会社の10人程度が改ざん行為を認識していたと明かし、「一定の組織的な動きであったといわざるを得ない」と述べた。
改ざんによって国や顧客の基準に適合しないダンパーは、疑いを含めると、農林水産省が入る中央合同庁舎第1号館や自治体庁舎、病院、NHK放送局など計1105件で使われている。同社はこれらのダンパーを20年9月までに交換する予定で、すでに99件で交換作業に着手したという。
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KYBが13日に発表した18年4~12月期決算(国際会計基準)は201億円の純損失となった。19年3月期通期も100億円の純損失見通し。ダンパーの交換工事などで累計267億円かかるためとしている。