日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告に日産の海外子会社などを通じて高級住宅が提供されていた問題で、少なくとも海外の3都市で住宅が購入され、改装を含めた費用として計34億円超が支出されていたことが日産関係者への取材でわかった。
関係者によると、2005年と08年にパリ(フランス)、12年にリオデジャネイロ(ブラジル)とベイルート(レバノン)で高級住宅が提供されていた。購入と改装に要した費用は、パリが910万ドル(約9億8千万円)、リオが580万ドル(約6億2千万円)、ベイルートが1670万ドル(約18億円)にのぼるという。日産は購入などにかかった金額を示すメールの存在も社内調査で把握している。ベイルートの改装費を早く払うようゴーン前会長が17年に日産幹部に指示したメールもあるとしている。
ゴーン前会長は東京とオランダでは賃貸マンションを使用していた。東京は月136万円、オランダは同86万円の賃料を日産がそれぞれ支出していたという。
日産の経費から、ブラジルのヨットクラブの会員権の取得に必要な諸費用6万3千ドル(約680万円)を支出し、社内の正式な決定を経ずに出身地のレバノンの大学に少なくとも100万ドル(約1億800万円)を寄付するなど、私的流用の疑いも明らかになっているという。(箱谷真司、筒井竜平)