電機メーカー各社でつくる日本電機工業会の柵山正樹会長(三菱電機会長)は21日の記者会見で、自らが社長として率いた三菱電機で社員の労災認定が相次いだ問題への見解を問われ、「私に関する話はまた別途、機会があれば話す」と述べた。業界団体の会見を理由に、個別企業の立場では答えられないとして説明を避けた。
三菱電機では、男性社員5人が長時間労働によって精神障害や脳疾患を発症し、柵山氏が社長を務めていた2014~17年に全員が労災認定された。5人のうち2人は過労自殺していた。この問題が発覚してから柵山氏は公の場で見解を示していないため、会見での発言が注目されていた。
会見では、働き方改革について「日本の商習慣など、個社だけでは解決できない問題がある」と述べ、引き続き業界団体トップとして各社の取り組みを支援することに意欲も示した。労働時間の管理の難しさから三菱電機が3月に廃止した裁量労働制に関しては「日本電機工業会として厚生労働省の有識者会議の議論を注目している」と述べるにとどめた。
また、三菱電機が社内の品質基準を満たさないゴム部品を使った製品を出荷していた問題についても見解を問われると、「申し訳ない」と謝罪。そのうえで「あまりにもつっけんどんで個社の問題に触れないというのはいかがなものかと思ったが、これ以上の内容は個別に対応させていただきたい」などと述べた。(内藤尚志)