2015年末に新入社員が過労自殺した広告大手の電通は14日、労働環境の改善に向けた取り組みの結果として、18年の社員1人あたりの平均総労働時間が1952時間となったと発表した。前年より79時間減った。19年に1800時間にする目標を掲げている。
同日開いた決算会見で明らかにした。目標には2時間達しなかったが、「一定の成果は得られた」(曽我有信取締役執行役員)としている。取り組みにかかったコストとして、増員に伴う人件費の増加や、業務効率化のための機械化、システム構築などで計113億円を計上。今後も、年50億~60億円の投資を続けていくとしている。
電通の18年12月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高が前年比9・7%増の1兆185億円となる一方、純利益は同14・4%減の903億円だった。
電通はまた、元総務事務次官の桜井俊執行役員(65)を取締役に起用する人事も発表した。20年以降の持ち株会社移行に伴い、内部統制の充実にあたる。「持ち株会社がグループ全体を俯瞰(ふかん)し、6万人の社員を束ねるため、総務省という大きな組織のトップでいた知見、経験に期待している」(同)としている。桜井氏は、人気アイドルグループ「嵐」の櫻井翔さんの父。(佐藤亜季)