愛知県の養豚場で家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の感染が相次いでいる問題で、同県田原市で14日、県内で5カ所目の感染が明らかになった。現場は養豚場が集まる「養豚団地」にあり、隣接する養豚場では13日に感染が確認されている。県は農林水産省の判断を受け、この養豚団地の8農家が飼育する計約1万5千頭をすべて殺処分する。
この養豚団地では13日に同じ経営者による2カ所の養豚場で感染があり、県が殺処分を進めている。県は団地内の他の養豚場を検査したが、ほかに陽性反応は出ていないという。
だが農水省の疫学調査チームの調査で、団地内の養豚場が事務所や車両、堆肥(たいひ)場などを共同利用していることが判明。農水省によると、感染初期には陽性にならない場合もあり、「団地内のほかの農場にウイルスが侵入している可能性が極めて高い。団地全体を『一つの農場』とみなし、すべての豚を殺処分することが適当」と判断した。団地内では計約1万4千頭が飼育されているが、一部の農場主が団地外で飼育する約1千頭も対象になる。農水省によると、感染が確認されていない養豚場の豚も、殺処分されれば評価額の100%の手当金が支払われる。
愛知県は14日夕に緊急対策会議を開き、農水省の判断に従って殺処分する方針を確認。大村秀章知事は「これ以上拡大させないために必要な措置で、ご理解をお願いしたい」と強調。殺処分の支援のため、自衛隊に災害派遣を要請したほか、国を通じて他の都道府県に獣医師らの応援派遣を求める。