ビール大手4社の2018年12月期決算は、国内のビール系飲料市場が苦戦する中、海外事業やチューハイなどほかの酒類で収益を補う構図が続いている。
サントリーホールディングス(HD)は、ウイスキーやチューハイなどが伸びて増収に。清涼飲料水は販売量は増えたが、物流コストが高騰して利益を圧迫。全体では純利益が減少に転じた。
アサヒグループHDは、16年以降に買収した欧州事業が利益に貢献し、4社で唯一、増収増益。タブレット菓子「ミンティア」などの食品事業も収益を押し上げた。
キリンHDは、第3のビールや清涼飲料水が販売を増やし売上高が増えた。前年、ブラジルのビール事業の売却益を計上していた反動で純利益は減った。
サッポロHDは、チューハイやノンアルコールビールが好調だったが、国内のビール系飲料が苦戦して減収に。東京・恵比寿ガーデンプレイスなど不動産事業が利益を稼いだ。
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アサヒグループHDとキリンHDは、決算と併せて3年間の中期経営計画を発表した。
キリンは、海外のクラフトビールや健康事業に約3千億円を投資して、M&A(企業合併・買収)も検討する。
アサヒは海外のプレミアムビールを国際展開し、有力ブランドの買収を今後も進める方針だ。(長橋亮文)
ビール大手で増収増益はアサヒだけ
売上高 純利益
サントリーHD 2兆5172 1401
(4.0) (▼33.7)
アサヒグループHD 2兆1202 1510
(1.7) (7.1)
キリンHD 1兆9305 1642
(3.6) (▼32.1)
サッポロHD 5218 85
(▼2.7) (18.6)
〈注〉2018年12月期、億円。かっこ内は前年比増加率%。▼はマイナス。HDはホールディングス。国際会計基準。サントリーHDは非上場