アフリカ南部ジンバブエで、「独裁者」と呼ばれたムガベ大統領が2017年に失脚した後の国造りが難航している。後継のムナンガグワ大統領(76)は「経済再生」を唱えているが、財政難や高い失業率を解決できず、暮らしは厳しいまま。頼みとする日本などからの外資呼び込みも道半ばだ。(ヨハネスブルク=石原孝)
首都ハラレのガソリンスタンドには1月下旬、100メートル以上にわたる給油待ちの車列があった。自営業のイルビネ・チナカさん(28)は「6時間は待っている。本当に無駄な時間だ」。
食料品なども、この半年で軒並み値上がりした。地元紙によると、今年1月のインフレ率は56・9%。食用油は5倍になった。
物不足と物価高騰の主な原因は、日用品など暮らしにかかわる製品の多くを輸入に頼る経済構造にある。
ジンバブエにはプラチナをはじめとする豊富な地下資源があるが、採掘や精製に必要なインフラが整備されていない。輸出して外貨を稼げず、国全体でみると、輸入額の2週間分ほどに相当する外貨しか保有していない深刻な状態だ。
自国通貨ボンドへの信用は落ち、国民の多くが米ドルを好む。あるファストフード店のメニューには、現地通貨のボンド紙幣なら7ドルだが米ドルなら2ドルとしていた。店側もドルを得るのに必死なようだ。
■「ガソリン代、世界一…