16日に投票が予定されていたナイジェリアの大統領選挙で、選挙管理員会は投票開始のわずか5時間前になって「1週間延期する」と発表した。投票用紙や投票所への入館証などの送付が国内全土に行き渡っていないためとみられる。投票直前の延期決定は、アフリカ最大の約2億人もの人口を誇る地域大国の威信を傷つけることになりそうだ。
選管のヤクブ委員長は同日未明、記者会見し「難しい決断だったが、選挙の適正な遂行にとっては必要だった」と理解を求めた。
選挙直前の延期は過去にも起きている。4年前の前回大統領選では、イスラム過激派「ボコ・ハラム」がテロや誘拐を繰り返していたことを理由に、投票1週間前に延期が決定。米CNNによると、2011年の総選挙が延期になった際には、選管が「東日本大震災の影響で、(海外に委託した)投票用紙などを積んだ飛行機が回り道を余儀なくされた」などと理由を語っていた。
今回の大統領選には約70人もの候補者が出馬。現職のブハリ大統領(76)と最大野党が推すアブバカル元副大統領(72)による事実上の一騎打ちだった。両陣営ともに、直前の投票延期の決定を非難している。(ヨハネスブルク=石原孝)