探査機「はやぶさ2」が22日朝、小惑星「リュウグウ」に着陸した。地球から3・4億キロ離れた場所での離れ業が成功した背景には、はやぶさ2からの画像を解析した大学院生らの努力もあった。
宇宙へ 苦難と栄光、終わらない旅
立教大大学院修士2年の諸井圭市(けいいち)さん(23)は、着陸の瞬間を相模原市のJAXA宇宙科学研究所で迎え、管制室の映像で成功を確認した。「すごくドキドキしたけれど、ついにやったと思った。チームの一員として関われたことに達成感があります」と声を弾ませた。
諸井さんは、亀田真吾教授(惑星物理学)の研究室のメンバー。同研究室は、2011年からはやぶさ2に積む高精度カメラの設計や性能試験を担当してきた。3台のカメラは、リュウグウの位置を正確に捉えて、はやぶさ2を誘導する重要な役割を担う。諸井さんや修士1年の石田茉莉花(まりか)さん(23)は、カメラの性能を定期的に確認するなどしてきた。
さらに、昨年6月、重要な作業を任された。はやぶさ2から送られてくる画像を元に、リュウグウの周囲に小さな衛星がないかを調べる作業だ。もし衛星があれば、はやぶさ2と衝突する危険性がある。画像には、遠くの星やノイズも多く映り込み、区別が難しかった。
2人は1カ月近くの間、連日画像をにらみ続けた。星の動きの特徴をつかみ、画像処理技術も駆使して、衛星が存在せず安全に着陸できることを確認した。2人は「緊張の連続でした」と声をそろえる。
石田さんは「この日をすごく楽しみにしていた。カメラが着陸への役割を担ってくれたと思います」。亀田教授は「カメラがあって正しい判断ができた。代々の学生たちががんばってくれた」と話した。(小林舞子)