値上がりする見込みのない山林などを売りつける「原野商法」の過去の被害者らが再び現金を詐取された事件で、警視庁は26日、詐欺に使った不動産会社の宅地建物取引業の免許を不正に取得したとして、新たに会社役員中村季夫容疑者(69)=東京都新宿区=ら6人を宅建業法違反の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
原野の「地価上がる」 だまされ買った土地で二次被害
警視庁は、中村容疑者らが、大手の不動産会社を連想させる会社を用意し、詐欺グループに提供していたとみて調べる。会社に運営実態はなかったという。
捜査関係者によると、6人の逮捕容疑は共謀して2017年8~10月、「大和地所」(東京都千代田区)と「三宝建設不動産」(新宿区)の2社の代表取締役や宅地建物取引士について名義を借りて申請し、都知事の免許を取得したというもの。
警視庁は、当時不動産会社社長だった中村容疑者が他の容疑者4人に数万円ずつ払って名義を借り、2社を用意し、詐欺グループから数百万円とみられる報酬を受け取ったとみている。残る1人は中村容疑者の会社のアルバイトだった。
一連の事件では、2社の社員などを名乗って「土地を高く買い取る」と持ちかけ、手数料名目などで現金を詐取したとして計14人が詐欺の疑いで逮捕され、うち13人が起訴されている。警視庁には同様の被害相談が少なくとも約200人、計約4億円あまりあるといい、関連を調べている。