大阪府熊取町で昨年12月、住宅に放火して半焼させたとして、府警は住居不定、無職の谷口正一容疑者(68)を現住建造物等放火容疑で逮捕し、26日発表した。谷口容疑者は「むしゃくしゃしていた」と供述。この火事では住民の高齢夫婦が死亡しており、府警は当時の状況をくわしく調べている。
捜査1課によると、谷口容疑者は昨年12月5日深夜から翌6日未明ごろにかけ、熊取町小垣内(おがいと)3丁目の無職、佐々木良雄さん(当時80)方の木造平屋建て住宅の壁などに何らかの方法で放火し、住宅の一部約25平方メートルを焼損させた疑いがある。当時寝室にいた佐々木さんと妻の勝子さん(同74)が死亡。司法解剖の結果、いずれも一酸化炭素中毒だった。
現場検証の結果、外壁付近の燃え方が激しく、府警は放火の疑いがあるとみて捜査していた。周辺の聞き込みなどから、事件の半年ほど前まで現場近くで暮らしていたという谷口容疑者が浮上。府警が事情を聴いたところ、事件への関与を認めたことから逮捕した。事件当時は、大阪府南部の商業施設などを転々として生活していたという。
現場近くに住む30代の男性は、数年前に勤務先の食堂の客だった谷口容疑者と知り合ったという。一時期生活をともにしていたこともあったが、「放火事件で逮捕されるような男には見えなかった」と話した。