堀篭俊材の波聞風問
不祥事が起きると、「第三者委員会」が雨後のタケノコのように立ち上がる。官民問わず、不正の問題点を検証することは大事だが、幕引きを図る舞台回しに使われるならば無用の長物となる。
賃金の伸び率が高くなった毎月勤労統計の不正をめぐり、厚生労働省が設置した特別監察委員会が批判を浴びた。根本匠・厚労相は2月5日の衆院予算委員会で、特別監察委は「第三者的な委員会」と答弁し、こう続けた。「第三者性を強調しすぎたならば、反省しております」
監察委は設置から、わずか6日後に「隠蔽(いんぺい)の意図なし」とする29ページの報告書を出した。委員長を厚労省の外郭団体の理事長が務め、関与した厚労省職員の聞き取りを「身内」の職員が行い、幹部も同席していた。「独立性に欠ける」と指摘された。
日弁連のガイドラインでは、第三者委は調査対象の企業や組織から独立した委員のみで構成されると定める。厚労省の監察委も「第三者委として設置された」と報告書にはっきり書かれている。
それなのに、監察委は「第三者的」であり、本来の第三者委ではなかったのか。
日本オリンピック委員会(JOC)も、同じように疑惑がくすぶり続けている。
1月中旬、来年の東京五輪・パ…