鹿児島県屋久島町や県、国などでつくる屋久島山岳部保全利用協議会(会長=荒木耕治町長)は25日、会計担当だった職員が、登山者から集める入山時の協力金など少なくとも2900万円を着服した、と発表した。職員を18日付で免職処分としており、業務上横領容疑で刑事告訴する方針。
荒木町長らが町役場で記者会見した。職員は40代男性で、2010年から正職員として協議会で勤務。1人で会計を担当していた。
協力金は縄文杉や宮之浦岳がある「奥岳」に入る登山者を対象に、日帰りで千円、山中泊で2千円を任意で納入してもらう制度。協議会の銀行口座で管理し、町側に送金する仕組みだった。だが、昨年7月以降に計2900万円が未送金になっていることが、今月の内部検査で発覚した。
協議会の調査に元職員は着服を認め、「パチンコやインターネット競馬で使った」と話したという。過去の協力金や協議会が販売するバスチケットの売上金の私的流用と穴埋めも繰り返していたとみられる。町側は長年、通帳の確認を怠っていたという。協議会は被害額を確定させ、告訴する方針だ。
協力金制度は、主に山小屋のトイレにたまるし尿搬出のため17年に導入。入山者の8割が協力しており、昨年4~12月には約5430万円が集まっている。
町は協力金制度を存続させる方針で、会計担当を複数配置するなど再発防止策を講じるとしている。荒木町長は「屋久島の環境保全のために賛同頂いた多くの皆様に多大なご迷惑をかけた」と謝罪した。(屋久島通信員・武田剛)