英国の欧州連合(EU)からの離脱手続きが難航しているなか、英議会下院(定数650)が27日、離脱延期に道を開く内容のメイ首相の方針を採決し、賛成502、反対20の賛成多数で可決した。社会の混乱をもたらす3月末の「合意なき離脱」を避けて、離脱が延期される可能性がより高まった。
英のEU離脱、3カ月の延期濃厚 危機はさらに緊迫か
議会がこの日の動議で可決したのは、メイ氏が26日に表明した方針。EU離脱協定案が3月12日までに議会で否決された上、EUとの合意がないまま3月末に離脱することの賛否を翌13日に採決しても否決となった場合に、短期間の離脱延期の是非を問う採決を同14日までに実施するという内容だ。
与野党双方の大部分が賛成したが、一時的に社会が混乱してもEUと早く決別できた方がいいと考える与党保守党の強硬離脱派らが反対に回ったり棄権したりした。この採決は議会の意思を確認するもので、法的な拘束力はない。
離脱条件を定めた協定案は、昨年11月に英政府とEUが合意したが、今年1月の英議会では歴史的大差で否決された。メイ氏は、協定案を修正して英議会の承認を3月12日までに得たい考え。だが、EU側は修正を拒否しており、仮に離脱延期になったとしてもEU側との協議がまとまる見通しは立っていない。(ロンドン=下司佳代子)