アイルランド政府は18日、欧州委員会が求めていた米アップルへの追徴課税金143億ユーロ(約1兆9千億円)を同社から回収したと発表した。多国籍企業への税優遇や税収の獲得で各国政府の綱引きが続く中、米大手企業への課税を巡る議論に一石を投じそうだ。
アイルランドのドナフー財務相は「『国家補助』と疑われている全額を、アップルから回収した」と説明した。アップルは税優遇分の131億ユーロと利息の12億ユーロを9月初めまでに支払ったという。アップルは、朝日新聞の問い合わせに回答しなかった。
欧州委がアイルランド政府に対し、アップルへの違法な税優遇131億ユーロの回収を求めたのは2016年。アップルがアイルランドの子会社を使ってほとんど税金がかからないようにし、同政府も認めていたと指摘。03年に1%だった税率が、14年には0・005%になっていたとして、優遇分の回収を求めた。
アイルランド政府とアップルは、不服として欧州裁判所に提訴しており、決着には数年かかると見込まれている。アイルランド政府は今回、欧州委の指摘には根本的に同意できないものの、欧州連合(EU)の加盟国としての法的な責任を順守するとして、資金の回収を行ったと説明。アップルが支払ったお金は、第三者が管理する「エスクロー」口座で管理され、欧州裁の最終決定を待つという。
ただ、143億ユーロという金…