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エビの殻むきから考える移民問題 彼らは仕事を奪うのか

経世彩民 津阪直樹の目


英国とヨーロッパ大陸に囲まれた北海周辺は、クルヴェット・グリーズ(グレーの小エビ)と呼ばれるエビの漁が最盛期を迎えつつある。沿岸国のスーパーやレストランには、エビを使ったサラダやコロッケが出回る。


オランダ北端の港町ラウエルスオーホもエビ漁の船でにぎわう。とれたてのエビが店に届くのかと思いきや、ほとんどがトラックに積まれ、2千キロ以上離れた北アフリカのモロッコに向かう。3日半かけてモロッコに運ばれたエビは加工工場で手作業で殻をむかれ、また3日半かけて戻ってくるという。なぜわざわざ、そんなことをするのだろうか。


「むき手」を求めて世界をめぐる


このエビは小さく、機械でむくのには向いていない。ベテランのエビ漁師、ベールンさん(64)によると、1980年代までは地元の各家庭で分担して殻をむいていた。しかし報酬は安く、作業の負担に見合わなかった。そこで90年代には東欧で行われるようになった。しかし作業の質の問題などもあり、エビの行き先はアフリカに。モロッコにあるオランダ系の加工工場では、殻をむいた後のエビの重さで報酬が決まる。1日7キロ分で得られる日当は10ユーロ(約1200円)以下。オランダの最低賃金の1時間分か、それ以下だ。


移民は仕事を奪うのか


「安いむき手」を求めて世界を旅するエビたち。そこから、欧州でもっともホットな移民問題を考えてみたい。


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経済という言葉の語源「経世済民」には「世をおさめ、民をすくう」という意味があります。新コラム「経世彩民」では、記者が日々の取材を経て思うこと、伝えたいことを色とりどりの視点でつづっていきます。原則、毎週火曜朝に配信します。


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