大阪市の古美術オークション会場で昨年10月、象牙彫りの観音像が違法に陳列された事件で、象牙製品の取扱業者として無登録なのに、この観音像をオークション主催会社側に引き渡したとして、大阪府警は1日、像を所有する中国人男性(55)=東京都渋谷区=を種の保存法違反容疑で書類送検した。捜査関係者が明らかにした。
捜査関係者によると、男性は昨年8月上旬、象牙製品の取扱業者として国に登録していないのに、象牙彫りの観音像(約40センチ)をオークションに出品するため、主催会社「古河會」(京都市北区)に郵送し、引き渡した疑いがある。
府警はこの観音像をオークション直前に押収。昨年12月、象牙製品の取扱事業者として無登録なのに、この像をオークション前日の下見会で陳列したとして、同社と女性社長(36)を種の保存法違反容疑で書類送検。この像の入手先を調べていた。
象牙や象牙製品の輸出入は、ワシントン条約で原則禁止されている。密輸出対策として種の保存法の改正法が昨年6月に施行され、象牙製品の取扱業者は届け出制から、国の審査や5年ごとの更新が必要な登録制になった。(藤波優、米田優人)