4連覇に挑む広島カープの試合を生で見たい――。今季の本拠試合のチケットを購入できる抽選券を求めて、配布日の2月25日はマツダスタジアム(広島市南区)周辺に約5万人が詰めかけた。怒号が飛び、警察が交通規制する騒動へと発展。一体何があったのか。
「何しよんね!」。午前11時すぎ、球場に続くプロムナードで抽選券の列に並んでいた広島市中区の初谷(はつや)礼子さん(72)の耳に怒声が響いた。
怒りの原因は、突然の「打ち切り」だ。球団は当初、午前11時までに球場に並んだ人全員に抽選券を配るとしていた。2100人の当選者が後日、1人につき5試合まで窓口で購入できる仕組みだった。
ところが、球団スタッフが「これで締め切ります」と拡声機で声を張り上げ、「プロムナードにいる人まで」と制限した。初谷さんはなんとか締め切り前の集団に入れたが、「もし目の前で切られたら私も怒ると思う。何日かかけてスタジアム以外でも配るなどの工夫は出来たはず」と話す。
球団の人出予想は2万5千人だった。1時間20分前倒して配布を始めたが、人の波は大きくなるばかり。列の中には、高齢者やベビーカーの乳幼児を連れた女性らも目立った。
危険を察知した広島南署は午前10時50分ごろから約2時間、広島駅と球場を結ぶ道路への車の乗り入れを禁止した。近くの踏切周辺にも人があふれたため、JR西日本も約15人の職員を出して誘導にあたった。
結局、抽選券の配布は約4万人…