欠陥エアバッグ問題で経営破綻(はたん)した自動車部品大手タカタの元社員9人がインサイダー取引をしたとして、証券取引等監視委員会は1日、金融商品取引法違反の疑いで計約800万円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した。民事再生法の適用申請などが公表される前に、損失を避ける目的で自社株を売り抜けたとみられる。
監視委によると、元社員らは40~60代の男女でいずれも管理職だった。同社が2017年6月に米自動車部品メーカーへの事業譲渡や民事再生法の適用申請を行うことを会議などで知って公表前に売り抜け、14万~183万円の損失を回避したとされる。売り抜け時の株価は400~500円ほどだったが、公表直後に35円まで下落していた。
同社のエアバッグは世界シェアの2割を占めていたが、08年ごろに欠陥が表面化。大規模リコールに発展した。製造業として戦後最大の大型倒産となり、同社は中国資本参加の米自動車部品メーカーに事業を譲渡。すでにタカタの社名は消滅している。