ノリタケカンパニーリミテド、TOTO、日本ガイシ、日本特殊陶業は4日、セラミックスを使った燃料電池を開発する新会社を共同で立ち上げると発表した。今年12月の設立をめざし、本社は愛知県小牧市の日本特殊陶業の工場内に置く。
同日、4社のトップが都内で会見した。新会社の社名や資本金、出資比率、人員は決まっていない。
燃料電池は水素と酸素を化学反応させて発電するもので、発電時に二酸化炭素を出さない。環境面への負荷が少なく、自動車や家庭用発電機に使われている。発電する中心部分にセラミックスを使うと、他の素材を使うより効率的に発電できる。ただ、耐久性などの課題が多く、「非常に難しい開発」(日本ガイシの大島卓社長)という。
4社はこれまで単独で研究開発をしてきたが、商品化はできていない。このため、新会社にそれぞれの技術を持ち寄って早期の実用化をめざす。将来は小型の家庭用携帯電源から大型の産業用発電装置まで、幅広い分野での活用を考える。TOTOの喜多村円社長は「20年近く開発してきたが、4社長で話し合う中でもっとすばらしいものができる可能性を強く感じた」と話した。
4社は1876年に設立された商社・森村組(現森村商事)をルーツとする森村グループの主要企業。事業面のつながりはこれまでほとんどなく、4社が共同事業を行うのは初めて。新会社設立の狙いについて、日本特殊陶業の尾堂真一会長兼社長は「世の中の動きもあり、他社との連携が必要だった。グループ各社の知恵を集めるのは極めて自然な流れだ」と述べた。他の分野での協業や経営統合は検討していないという。(初見翔)
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〈森村グループ〉 1876年に森村市左衛門、豊兄弟が創立した商社「森村組」(現森村商事)を源流とするセラミックス企業グループ。市左衛門らが1904年に日本陶器(現ノリタケカンパニーリミテド)を創業。同社の衛生陶器部門が17年、碍子(がいし)部門が19年にそれぞれ独立し、東洋陶器(現TOTO)、日本碍子(現日本ガイシ)が設立された。36年には日本碍子の点火プラグ部門が日本特殊陶業として分離・独立した。
森村グループ4社の歩み
1876年 森村市左衛門、豊兄弟が森村組(現森村商事)を設立
1904年 市左衛門らが洋食器製造の日本陶器を創業
1917年 日本陶器の衛生陶器部門を分離し、東洋陶器が設立
1919年 日本陶器の碍子部門を分離し、日本碍子が設立
1936年 日本碍子の点火プラグ部門を分離し、日本特殊陶業が設立
1970年 東洋陶器、社名を東陶機器に変更
1981年 日本陶器、社名をノリタケカンパニーリミテドに変更
1986年 日本碍子、社名を日本ガイシに変更
2007年 東陶機器、社名をTOTOに変更