屋根を貸すだけで、工場や店舗が初期負担ゼロで太陽光発電を使えるサービスを中部電力が2月から始める。災害時の非常用電源になるほか、電気料金が安くなる可能性があるという。「環境志向」の強い顧客のニーズに応え、再生可能エネルギーの普及にもつなげたい考えだ。
中電が費用を負担して、太陽光発電設備を屋根に設置。発電した電気は、取り付けた先の工場や店舗が使い切ることを想定する。電気の消費量に応じてサービス料金を受け取り、設備の保守も中電が担う。中電からこれまで通り電気を買う場合と比べ、3~5%電気料金が安くなる可能性があるという。工場が休みで自家消費できない日などは、余った電気を中電が買い取る。
昼間の電気使用量が多く、屋根が大きい顧客にはメリットが大きい。中電は郊外のスーパーや飲食店、工場などの利用を見込む。100キロワット以上の設備を、700平方メートル以上の屋根に取り付けるのが目安になるという。
発電設備の調達や施工は、中電が昨年9月に約10%を出資した新電力のLooop(ループ、東京)が持つノウハウを活用する。中電の大谷真哉執行役員は「お客様参加型の新しい取引サービスをつくりたい」と説明。関東や関西でもサービスを展開し、今後は家庭向けにも対象を広げていくという。
中電は25日、風力や太陽光など、発電時に二酸化炭素が出ない電気だけを選べる新料金メニューを7月ごろに始めることも発表した。環境対応を進める企業などの需要を見込む。料金は通常よりも高くなる見通しという。(山本知弘)