大阪維新の会が仕掛けた大阪府知事・市長のダブル選で、自民党が知事選の対立候補に選んだのは、維新トップ2代に仕えた元側近だった。元副知事を担いで反旗を鮮明にし、維新政治を批判する戦略。ただ、思惑通りに他の政党を結集して「反維新」選挙に染め上げられるかはこれからだ。
出直しダブル選・住民投票…大阪都構想の行方は
「今回の(ダブル)選挙は納得できない」。自民党が知事選に擁立した元府副知事の小西禎一(ただかず)氏(64)は11日夕、大阪市内のホテルで立候補表明会見に臨み、この言葉を繰り返した。
立候補を決めた理由として真っ先に挙げたのが、大阪府の松井一郎知事(維新代表)と大阪市の吉村洋文市長(同政調会長)が任期途中で辞職し、知事・市長候補を入れ替えて立候補する「クロス選」への不信感。「公職をあまりに軽んじているのではないか」と痛烈に批判した。
その松井氏と小西氏の縁は浅くない。小西氏は、松井氏の盟友で前任の知事・橋下徹氏の現職時代に財政再建の青写真づくりを任された。松井氏が知事に就任すると、副知事に起用された。維新の看板政策で、大阪市をなくして東京23区のような特別区に再編する大阪都構想などを担当。約10年にわたる府の維新政治を中枢で支えてきた、橋下、松井氏の元側近と言える。
この日の会見では、自身も深く関わった都構想について「1点を変えれば全てバラ色になるような主張だが、そうではない」と批判。「この機会に、議論を打ち止めにすべきだ」と述べ、都構想と決別する意思を明確にした。
ただ、1時間弱の会見は維新の政治手法への批判が中心。「小西府政」の政策の詳細については、「自民と相談しながらまとめている」などと述べ、後日公約を発表するとした。
会見では、元側近から見た松井氏個人の問題点を問われると、「いろいろな側面にわたるので、ここで話すのは差し控える」。奥歯に物の挟まったような言いぶりで、元上司への明確な批判を避けた。
「反維新連合」は可能か
過去2度のダブル選で首長を独…