東京電力福島第一原発事故は、発生から8年を経てもなお、関係業界に影を落とし続けている。大阪府にある燃料製造会社を訪ね、考えた。 関西空港から、車で内陸部に進んで20分ほどの場所。大阪府南部の熊取町にある工場や研究施設が集まる小高い丘に、堅牢なフェンスに囲われた白い箱形の建物が現れた。周囲には多数の監視カメラ。 1月末、核燃料(燃料集合体)を製造する民間企業「原子燃料工業」の熊取事業所を許可を得て取材した。ここは西日本で唯一の核燃料工場で、関西電力や四国電力の軽水炉に採用されている加圧水型(PWR)用の燃料をつくっている。 ゲートをくぐると、地上4階建て、中学校の体育館ほどの建物が見えた。第2加工棟だ。「核燃料の原料となるウランの保管から、燃料の製造、電力会社への出荷まで一貫して担う、主力工場です」。事業所の塩田哲也副所長はそう話す。 「両手を横に広げて。次、足の裏を見せて」。係員から金属探知機で身体検査を受け、防護服を着る。ゴーグルやマスクはつけない。胸ポケットに放射線量計を差し込み、放射線管理区域の扉をくぐった。 まず向かったのは、核燃料の原… |
静まりかえる核燃料工場 原発政策のしわ寄せがここに
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