厚生労働省は、児童虐待防止の強化に向けて今国会に提出する児童福祉法等改正案の全容を固めた。親権者や児童福祉施設の施設長らが「しつけ」として子どもに体罰を加えることの禁止や、児童相談所(児相)が強制的に子どもを一時保護する「介入的対応」と「保護者支援」の担当職員を分けることが柱。施行日は一部を除き来年4月1日としている。
12日午前の公明党会合で示した。残る焦点だった中核市と特別区での児相設置義務化は見送り、改正法施行後5年をめどに設置できるよう政府が施設整備や人材確保などを支援するとした。
千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅で死亡し、両親が傷害容疑で逮捕された事件を受け、厚労省は今国会に提出予定だった改正案への体罰禁止の明記に踏み切った。民法が規定する親権者の子どもへの「懲戒権」のあり方も、改正法施行後2年をめどに検討するとした。
児相で「介入」と「支援」の担当職員を分けるのは、必要に応じてちゅうちょなく子どもを保護できるようにするため。全ての児相に弁護士を常勤・非常勤職員として配置することは見送ったが、常に助言・指導を受けられる態勢を整える。医師と保健師は全ての児相に配置する。配偶者からの暴力と児童虐待が密接に結び付いていることを踏まえ、配偶者暴力相談支援センターが児童虐待の早期発見に努めることを明記。児童福祉司の国家資格化は改正法施行後「3年」をめどに検討するとしていたが、「1年」に短縮した。
厚労省などは運用面での虐待防止強化策も示した。威圧的、暴力的な保護者に対応するため、児相への警察OBの常勤的な配置や警察職員の出向を進めるなど児相と警察の連携を深める。スクールソーシャルワーカーや、学校の求めに応じて法律上の助言をする弁護士「スクールロイヤー」の配置も促進する。(浜田知宏)
■児童福祉法等改正案…